後見人は何をする?
相談はTEL072-814-6152
後見人は何をする?
▷法的な概念としては・・・
財産の管理に関する事務 →「財産管理事務」
療養看護に関する事務 →「身上監護事務」
成年被後見人の意思を尊重し、かつその心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。→「本人意思尊重義務」と「身上配慮義務」
例えば、ご本人はお酒が大好きで、一日に一升瓶を飲み干すほどだとします。
「本人意思の尊重」という意味では、お酒を飲んでもらうということになりますが、「身上配慮」(体の為)という意味では、お酒はほどほどにした方がという考え方になります。
このように相対立してしまうのです。
◎基本的にはバランスで判断されることになるのですが
一般的に、「悪い」言われることであっても、本人の意思は尊重されます。
⇒「愚行権」
例えば、タバコなどは、肺に疾患があれば別ですが、通常の量であれば、特段制限されたりすることはありません。
しかし、先のお酒の場合で、アルコール依存症であるとか、肝臓の病気であるような場合、本人意思の尊重より、身上配慮が優先されることになります。
1.財産管理事務とは?
・財産の現状維持を図る行為
・財産の性質を変えない範囲での利用・改良行為
・財産処分行為
(例えば、通帳や印鑑の保管、年金などの収入の管理、不動産のような重要な財産の処分、税務申告など。法律的行為に留まらず、例えば、財産を保全する意味で、家が劣化しないよう換気するような事実行為も含まれます。)
もう少し具体的にいうと・・・
お金の関係は基本的に職務権限範囲です。
(但し、身元保証人、連帯保証人などにはなれません。)
日常の金銭(小遣い)は、ご本人の管理にするなどの弾力的な運用はOK。
◎基本的なイメージは、入ってくるお金や、今ある財産を管理するということです。
本人のした契約行為を取り消すことができる。
たとえば・・・
訪問販売で・・・ 必要のない浄水器を買ってしまった。
売買契約の取消し
☆取消権行使による現存利益の返還
本人の法律行為が取り消された場合には、「現存利益」を返還すれば、それ以上は返還する必要はありません
現存利益の返還の考え方として、
ⅰ) ものや不動産は、現状で返還する。
ⅱ) 金銭の場合、遊興費等(例えば、競馬に使ってしまった)に浪費したときは現存する利益はないということで、何も返す必要がありません。
但し、生活費その他の有益な出費に充てられたときは、それだけ預貯金の減少が少なくなったわけですので、現存利益はあるとなり、返す必要があります。
悪徳商法などの例
例えば・・・ 魚の押し売り 出会えない系サギ
業務提供サギ 消防署の方から来ました・・・
過量販売取引 パチンコ攻略法サギ
2.身上監護事務とは?
施設入所契約・介護契約等の法律的行為をすること。
(但し、法律的行為に限り、介護や看護などの事実行為は含まれません。)
⇒つまり、暮らしにかかわることでの法律的行為。
もう少し具体的にいうと・・・
・治療・入院等に関する契約の締結、費用の支払
・賃貸借契約の締結、家賃の支払い
・施設入所契約(施設からの説明を聞いたりすることで、契約がきちんと守られているかも含む。説明責任を果たしてもらうのも施設契約の一部。
・施設費用の支払い
・介護の依頼、介護・生活に必要な契約、費用の支払(介護サービス利用契約、ヘルパーの費用支払い、光熱費の支払など)
・リハビリ契約の締結
・障害手帳などの申請
身上監護事務は、法律的行為に限られているとはどういう意味?
できないことってなに?
・事実行為
・看護やリハビリを直接やること(やってもらうよう依頼するのはOK)
・身元引受人はなれません。
・身体に対する加害的になる行為は原則不可です。
・身体的強制行為
(手術契約(体にメスを入れるので。)や、予防接種契約(体にウイルスを入れるので)。)
もちろん、婚姻、養子縁組、臓器移植の同意などは、ご本人の専権事項なので、後見人はできません。
1 医療に関する事項
契約の締結と解除
→診療契約、入院契約の締結と解除、健康診断の受診手配等。
相手方の履行の監視
→担当医等から十分な説明を受けることなど、インフォームド・コンセントのインフォーム部分に関する対応等。
費用の支払い
医療保護入院時の同意(成年後見人・保佐人のみ)
利用者の一般的な医療行為に関する成年後見人の職務>
(A)契約に関する中心的事務
ⅰ 診療契約、入院契約の締結
ⅱ 診療報酬等の支払い
(B)身上配慮義務に基づく事務
ⅲ 利用者の客観的医療関連情報の集約
ⅳ 利用者の客観的医療関連情報の提供
ⅴ 利用者の客観的医療関連情報の管理
ⅵ 利用者の治療に関する説明の要求を含む医療機関による履行の監視・監督
(C)本人意思尊重義務に基づく事務
ⅶ 本人意思に関する情報(推定的意思の判断につながる情報を含む)の集約と提供
ⅷ 治療関連情報の本人への実質的な形での提供
(D)医療同意権の不在に対する防衛策
ⅸ 医療同意権に関する医療機関への説明
ⅹ 家族への説明と意見調整
ⅹi裁判所との連携
2住居の確保に関する事項
・契約の締結と解除
→借家契約、借地契約、家屋の修繕請負契約等の締結と解除、借家契約締結時の内見等。
・相手方の履行の監視
→修繕請負契約に基づく工事への立会い等。
・費用の支払い
→家賃、地代の支払い、固定資産税の支払い等。
・居宅の鍵の管理
3施設の入退所、処遇の監視・異議申立て等に関する事項
・契約の締結と解除
→入所契約の締結と解除等。
・相手方の履行の監視
→都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会や国民健康保険団体連合 会等に対する公的な苦情申立て等。
・費用の支払い
→施設利用料の支払い等。
・留守宅の管理
4介護・生活維持に関する事項
・契約の締結と解除
→介護保険サービス契約の締結と解除、要介護認定の申請とその変更申請、ケアプランの作成やケアカンファレンスへの参加等。
→電気・ガス・水道等の供給契約、日常生活用品の売買契約等の締結と解 除等。
・相手方の履行の監視
→介護保険審査会への審査請求、国民健康保険団体連合会への苦情申立て等。
・費用の支払い
・財産管理権に基づく管理行為
→日常生活費に関する預金通帳・キャッシュカードの管理、日常生活費に関する現金の管理やその受け渡し等。
・ペットの処遇に対する手配
5教育・リハビリに関する事項
・契約の締結と解除
→入学契約の締結と解除等。
・相手方の履行の監視
・費用の支払い
→授業料、施設費等の支払い。
6就労に関する事項
・契約の締結と解除
→雇用契約、労働契約の締結と解除等。
・相手方の履行の監視
・費用の支払い
7余暇活動に関する事項
・契約の締結と解除
→関連する契約(スポーツクラブの会員契約等)の締結と解除等。
・相手方の履行の監視
・費用の支払い
→会員料、参加費等の支払い。
8申告、異議申立て等の公法上の行為
→ただし、上記1~7の事項についての法律行為に関連する行為に限られる。各種の公的な異議申立て、住民登録、各種年金・手当の給付、各種手帳制度、生活保護、税務申告等の手続に関する代理や代行等。
9アドヴォカシー(本人の身上面の利益主張を補助し、または身上面に関する利益を代弁すること)
→ただし、契約等の法律行為に関する権限の行使に伴う注意義務の範囲内 (民法858条の解釈として合理的な範囲内)に限られる。
10一般的見守り活動
11本人の意向の確認行為
12具体的な職務遂行前の情報収集
13利用者の家族を含む関係当事者間の連絡調整作業
14郵便物の管理(但し、明らかな私信などは除く)
15訴訟行為
(1)権限の及ばない行為
①身体の強制を伴う事項
手術・入院・健康診断の受診、教育、リハビリ等の医療行為の強制、施設への入所の強制等
②一身専属的な事項
臓器移植の同意等
③住むところの指定
(2)義務の及ばない行為
現実の介護行為