不動産の売却はどうなる??
不動産は後見制度を利用しない限り売却できない
不動産の処分をしようにも、ご本人の意思の確認ができない場合は、司法書士は意思確認不可ということで、手続きを進めることができません。
万一、このような場合に、強引に手続きをしてしまうと、契約の無効等のトラブルになることもあります。さらに司法書士は懲戒の対象になるので、関与ができません。
ですので、事実上、このままでは売却が不可能になっているわけです。
そこで、成年後見人の利用をということになってきます。
成年後見不動産の処分は、大きく2つのパターンに分かれます。
居住用不動産の場合
一つ目は、住んでいる不動産、若しくは住んでいた不動産について。
この場合、処分をするには、裁判所の許可が必要です。
裁判所の許可が取れる場合というのは、
その売却価額が相当と認められること(相見積もりなどを取って裁判所に提出する)
売却の必要性が、本人の資産状況等からしてあること
の二点が求められます。
法律は、住まいをとても重要視しています。
後見利用で最も多いのは認知症の方のケースですが、帰る家がなくなるなどすると、認知症に悪影響が出るなどしますので、慎重な判断を必要としています。
ですので、例えば、家を売却しなければ、病院・介護代に窮するなどの事情や、家が朽ちており、処分しなければならないなどの事情がなければ、裁判所は許可しないことになります。
居住用以外の不動産
重要な財産ではありますが、裁判所の許可は要件とされておりません。
但し、重要な財産を安価な価格で処分してしまうと、後で後見人の職務が適切であったかが問われることになり、最悪の場合、後見人がご本人に対して賠償義務を負うことになります。
ですので、このケースでも裁判所にその売却価額が相当と認められるかについて、事前に相談して、処分をすることが適当かについて、事前内諾を得てから処分することになります。